プルチーノ
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子どものむし歯の始まり 「感染の窓」とは?

予防歯科、小児歯科ブログ

こんにちは

プルチーノデンタルクリニックです。

 

まだまだ新型コロナウイルスの影響が続いています。今では世界中に浸透している感染予防のための手洗いやマスクの装着も、過去には意味がないと紹介されたりもしていました。現在も、新型コロナウイルスの全てが解明されたわけではありませんし、これから先に発表される内容が、その数年後には訂正されるなんてこともありえます。大事なことは、常にきちんとした情報を知ろうとすることで、自分や家族の健康を守ることです。そこで今回は原点に返り、虫歯の原因となる菌とその始まりのお話です。

 

虫歯の菌をもって生まれてくる子はいない

虫歯は菌が原因で起こる病気ということは知っていますよね。しかし、名前まで知っている方は少ないかもしれません。虫歯の主な原因と言われているのは「ミュータンスレンサ球菌」です。名前の由来は、変異をしやすいことから “ミュータント=突然変異体” と名づけられたという説があります。ミュータンスレンサ球菌には更に種類があり、もっとも有名なものは「ストレプトコッカス ミュータンス」です。ではこの菌はどこからやってくるのでしょうか。それは菌をもっている人から持っていない人へうつっていくのです。多くは、虫歯菌を持っている家族からまだ菌を持っていない子どもへ、唾液を介して感染していくと言われています。口移しや口と口のキスはもちろん、熱い食べ物を冷ましてあげようと、ふぅーふぅーと息を吹きかけてあげた食べ物に唾液がついて感染してしまうこともあります。愛情があるが故の行為が、感染の原因になってしまっていたかもしれないなんてショックですが、これらが感染経路の全てではありませんので、あまり神経質にならないでください。もし何かを気をつけたいというのならば、お父さんやお母さんが自分のお口のケアを見直しましょう。むし歯があれば治療して、虫歯がなければお口のメインテナンスをして家族で虫歯予防ができる環境を作りましょう。虫歯だらけな場合、活動性の高い虫歯菌が伝播してしまう可能性があります。子どもへのスキンシップを減らすよりも、家族で予防の輪を大きくする方が大切です。

 

3才までに虫歯菌がうつらなければ一生むし歯にはならない?

受診されるお母さん達から「子どもの時に、虫歯にならなければ一生虫歯にならないんですよね」と尋ねられることがありますがもちろんこれは ✖ です。理由は2つあります。

①虫歯菌に感染しているが虫歯が発症していないだけの可能性があること

②幼少時、感染していないとしてもその後の感染の可能性は捨てきれないということ

きっと先ほどのように質問されるお母さんは ”感染の窓” のお話をどこかで聞いたからだと思います。感染の窓とは、虫歯菌の感染が多い時期は ”約1才半から2才半の間” で、その後は虫歯菌に感染しづらいといったお話です。そもそも、生まれた赤ちゃんのお口の中にも菌はいるのですが、虫歯の原因となる「ミュータンスレンサ球菌」は存在していません。仮に、お口の中にミュータンスレンサ球菌が入ってきてもそれらは粘膜に留まることが難しく、多くは流れていってしまいます。しかし  ”感染の窓” と呼ばれる時期では、前歯はもちろん奥歯も生えてきて、ミュータンスレンサ球菌がそれらを足場にして定着しやすい環境なのです。このタイミングで唾液と共に虫歯菌が入ってくると、お口の中に感染してしまうのです。ただし、この時までに虫歯菌の感染がなければ、お口の中では様々な細菌たちが増殖し定着していくのでその後に虫歯菌がお口に住もうとしても定着しづらくなります。イメージで説明します。お口をアパートに例えると他の細菌たちが全部の部屋に入居していてもう住むところがないといった状況です。そうは言っても凶暴な虫歯菌が入ってきたり、なんらかの原因でお口の中の環境は変化しますので感染の窓の時期を過ぎてもそれは1つのステップにすぎませんので安心はできません。

 

今回は虫歯の始まりとも言える感染の話でした。感染自体を防ぐのも大事だと思いますが、個人的にはその後のセルフケアを如何にきちんと行うかと、それを実践するための高い意識をもつことがそれ以上に重要だと感じています。どんなに歯磨きをしなくても虫歯にならない汚いお口よりも、いつもきれいでさわやかなお口の方が素敵だと感じますよね。虫歯菌に感染しないための ”予防” 、虫歯を発症しないための ”予防” 2つをバランスよく実践しましょう。

 

まとめ

 

ミュータンスレンサ球菌の感染は感染者からの唾液から起きる

 

歯が生えてからの子どもへのスキンシップは適切に(極度の遮断はNG)

 

子どもの歯を守るにはまず自分のお口を健康に